江戸期の腎経図をまず見てもらいましょう。
(日本の漢方理論の一部として眺めてみてください)
図の説明
1500年代末の慶長年間以降に多く出版されるようになった教科書的なもので『十四経発揮』といわれ、現在も基本的には同じものが使われており、非常に完成度の高いものです。この書物は紀元前に著されたとされる『黄帝内経』(素問・霊枢)と諸学説を元の時代にまとめたものです。
この経は作強の官といわれるように、よく働く所と位置づけされている面がある。
なによりも腎は先天の気とされて、遺伝的、体質的なところとされている。
腎臓本体は、血液中の不要物を濾す重要な働きを持っているが、漢方では副腎を特に重視しており、ここより分泌されるホルモンは骨髓における血球の元となる、白血球の生成に深く関わっており、ひいては身体全体の免疫力をも左右するものとなっている。
また腎は髪や耳、喉とも深い関係がある。
恐れの感情を持つと腎をいためるし、塩辛いものは適度に取ると腎によいし、摂り過ぎると腎をいためる。
現代の腎経の経絡図を示しておきます
図の説明
経絡の流れとしては、足裏の涌泉より発して、足の内側を昇り、鎖骨の内側辺りで終わる。
この線は、作強の官といわれるように、より働く所と位置づけされている。
なによりも腎は先天の気とされて、遺伝的・体質的なところとされると同時に、後天の気といわれる脾・胃を中心とした、食養生、精神の養生の集まるところだとされている。
腎臓本体は血液中の不要物を濾す重要な働きを持っていますが、漢方では副腎も重視しています。
副腎は体全体のストレスに対抗するホルモン等を分泌し、また腎臓本体も分泌するホルモンによって骨髓における血球のもととなる白血球の生成に深く関係しており、体全体の免疫力の基本となっている。
また腎は、目・耳・喉等と深い関係にあり、恐れの感情や冷え・寒さが腎をいたる。
塩味は適度に摂ると腎によいのですが、摂りすぎるといためる。
しかし、むやみな減塩は、細胞膜を介してのナトリウムイオン等の減少を招き、人体における、活動不活性化を引き起こすので、注意しなければならない。
人の体表における経絡の流れは病変が生じたときに、この線上の特定のツボに必ず変化が生じるが、そこはまた同時に治療点ともなる。