次に五臓(肝・心・脾・肺・腎)への自律神経の影響の及ぶ範囲は、
多少の各臓気間へのつながりはあるようだが、それぞれが独立してると考えた方がよいようです。
その証として、
例えば、心臓についてみると
自律神経による細胞膜の変化による内外のイオンの移動による電流の発生(これにより心臓の筋肉は動いている)
は、心臓および近い周囲にとどまっており他の臓器に及ぼす力は弱くなっています。
このような脳部と特定臓器の自律神経の作用を漢方では経(ケイ)と呼んでおり、直接的で強い作用を持っています。
次に各臓腑間も弱いながらも関係を持っており、これを絡(ラク)と呼びます。
以上より、経絡は自律神経の及ぼす作用の通路ともいえます。
脳と五臓とは、人間の大脳皮質より入る精神活動による影響を受けながら、常に円を描くようにバランスよくお互いに深い関係を保っています。
強いストレスを受けると、このバランスに乱れが生じます。
漢方理論には、五臓にも感情(精神活動)があるとされます。
この事より、このバランスを正常に導くには、五臓における感情の適正化により脳への影響を軽減する、
つまり、五臓の改善(血流不足と冷えの改善)は、脳の活性化(脳の血流改善)を導くともいえます。
そこで、具体的な改善策を述べてみましょう。
良い事があったときは、心は晴れやか、身も軽く体調がよいでしょう。
反対に悪いことがあったときは、心は冷えて身は重く、体調が悪くなりがちです。
これは大脳皮質で感じたことが脊髄を通じて自律神経(交感神経・副交感神経)がどちらかに大きくぶれると
血管が細くなったり拡張したりして、身体のあらゆる組織の血流が減ったり、増えたりして、組織の機能向上あるいは低下を招くためです。
だから大脳皮質が発達した人間は思い(感情)によって体調まで変わるのです。
突然の大きな喜びは、自律神経つまり経絡を通して心臓に負担をかけて血流不足になり冷え、動悸や、脈の変調を超します。
例:パチンコが大フィーバーしてショック死する。(心臓が止まる)
逆にショックのあまり大笑いがでるのは、心臓の神志が痛む状態です。
心臓は特別に、こればかりでなく他のすべての感情{怒り・喜び・思い・悲しみ(憂い)・恐れ}に影響を受けます。
深い思い悩みは、自律神経つまり経絡を通して胃に負担をかけ血流不足になり冷えます。
みぞおちから左腹部にかけて不快感があらわれ、食欲の乱れ・鼻腔や口内に変調がでます。
例:強いストレスで胃潰瘍になる。
強い悲しみの感情は、自律神経つまり経絡を通して肺に負担をかけ、血流不足になり冷えます。
涙や鼻水が多く出るようになります。
悲しみは肺をやぶるという言葉が漢方ではあります。
強い恐れの感情は自律神経つまり経絡を通して腎臓に負担をかけ血流不足になり冷えます。
耳の不調や視力の低下、のどの不調、などに影響が出やすいです。
以上のような強いストレスによる五情の血流不足からくる冷え、機能低下の状態をここでは各臓器中に
の玉がぎっしり詰まった状態と置き換えます。
これらの玉をうまく体外に放出することができれば、臓気の働きがよくなり更に自律神経を介して脳にもよい情報が伝わり
気分も爽快になります。