④漢方理論による腎臓病のとらえ方と改善の方法
腎臓病についても漢方の基本的考えとして、全身の肉体的・精神的なゆがみが腎臓に及んだものであり、
これを正すには、他の内臓の調整も同時に行う必要があるとしています。
そこで、5臓5腑のその作用を中心に考えてみると
肝臓と胆のう、心臓と小腸、胃とすい臓、肺と大腸、腎臓と膀胱、
これらは互いに深い関係にあると考えており、
さらに肝臓を陰、胆のうを陽に、「木」として位置づけ、
心臓を陰、小腸を陽として「火」、
胃を陽、すい臓を脾と考えて陰に「土」とし、
肺を陰、大腸を陽に「金」とし、
腎臓を陰、膀胱を陽に「水」としています。
更に、「木」は「火」を生じ、
「火」は「土」を生じ、
「土」は「金」を生じ、
「金」は「水」を生じ
さらに「水」は「木」を生じる、ぐるぐると終わりなき循環の理論を説いています。
このめぐりを相生関係といいます。
この相生関係を具体的に述べると、
肝臓(陰)・胆のう(陽)は、心臓(陰)・小腸(陽)を活性化させ
心臓(陰)・小腸(陽)は、胃(陰)・すい臓(陽)を活性化し
胃(陰)・すい臓(陽)は、肺(陰)・大腸(陽)を活性化し
肺(陰)・大腸(陽)は、腎臓(陰)・膀胱(陽)を活性化し、
腎臓(陰)・膀胱(陽)は、肝臓(陰)・胆のう(陽)を活性化し
「木」→「火」→「土」→「金」→「水」→「木」→・・・
という風に循環していきます。
次に、「木」は「土」の作用を抑え、
「火」は「金」を抑え、「土」は「水」を抑え
「金」は「木」を抑え、
「水」は「火」を抑える作用があります。
これを相克関係といいます。
相克関係について簡単に説明すると
肝臓(陰)・胆のう(陽)は、胃(陰)・すい臓(陽)の作用を抑え
心臓(陰)・小腸(陽)は、肺(陰)・大腸(陽)の作用を抑え
胃(陰)・すい臓(陽)は、腎臓(陰)・膀胱(陽)の作用を抑え
肺(陰)・大腸(陽)は、肝臓(陰)・胆のう(陽)の作用を抑え
腎臓(陰)・膀胱(陽)は、胃(陰)・すい臓(陽)の作用を抑える
このような循環関係が続いていきます。
次ページへ腎臓へ
福本鍼灸院のtopへ