⑤漢方理論による腎(腎臓と副腎など)の説明
   ①基本的に腎は先天の気といって、体質的なもので生命活動の源となるものを貯蔵している所とされていますが、
胃・脾(すい臓など)より来る栄養物も後天の気として腎に納められています。
ここが重要なところで、いかに体質が弱くとも、後天の気たる胃・脾を養生し、
さかのぼって飮食に注意すれば腎機能は高まる事を示しています。
   ②腎(腎臓と副腎)は、脊髄と脳髄の発育にも大いに関係しており、
また骨髓に作用し、赤血球・白血球・血小板等の元となる血球の生成にも深く関与しています。
全身への栄養物・酸素の運搬、体内・体外における免疫力の維持・強化にも直接的な関係があります。
また、腎は骨の発育・強化にも深い関係があり、骨に栄養を与えたり、
逆に非常時には、骨から栄養を出したりと、これを管理しています。
    ③腎は、全身の水分代謝や水分保持、不要物の排出を通して、
小便の量、汗・肺呼吸での水分排出、また大腸よりの大便水分量の調整を行います。
腎臓と肺・大腸は直接的な関係もあります。
ここで漢方理論による少陰腎経の機能を簡単に示しておきます
腎経の機能図 簡単な図の解説
漢方でいう所の腎とは、腎臓と副腎を示しています。
腎の作用は主に水の代謝、不要物の排出、
全身のスムーズな活性化、ホルモンバランス調節などで、
本来体質的なものを示しますが、
胃を中心とした後天の気の充実により、
身体をより良く高められる事を示しています。
 腎臓、副腎ともに単独に成立するものではなく、
他のあらゆる臓器、身体部分が互いに深く結びついています。
特に、各臓器をつなげている矢印は、両方に印がつけてありますが、
これは人体においても互いに影響を及ぼしあう
という作用があるためです。
この矢印は、実際は自律神経(交感・副交感)、
ホルモン系を示しているのですが
基本的には脳髄、脊髄を中心とした自立神経が中心となっています。

この自律神経系を漢方では
12本の経絡と2本の督脈・任脈として表しています。

図の見方としては、各臓器と矢印による関係を感じ取ってもらえればよいと思います。


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